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1. 世界のエネルギー事情と石油
エネルギー需給をマクロでとらえる場合は、「一次エネルギー」の概念を使うのが普通である。例えば電力の場合は、石油、石炭、原子力、水力などの一次エネルギーが転換されたものであって、その元の形でとらえる必要がある。石油の場合は、さらにその元の形の原油で把握する必要がある。これら一次エネルギーを共通の尺度で比較するためには、熱量換算、石油換算などの方法が使われる。
これに対し、一次エネルギーの転換および加工によって得られる電力、都市ガスなどは二次エネルギーと呼ばれる。
世界の一次エネルギー消費は、1980年代前半は、第二次石油危機による石油価格高騰を主因とする省エネルギーの進展によって、ほぼ横ばいで推移したが、1980年代後半から1990年代を通じて、さらには今世紀に入っても、一貫して増勢をたどっている(表 1-1-1)。
エネルギー源別にみると、石油消費は、原油価格が急落した1986年から上昇に転じ、1990年代初頭の旧ソ連、東欧での需要激減はあったものの、アジア地域の高成長に伴う需要急増により、世界全体では底堅い伸びを示している。
20世紀は「石油の世紀」と呼ばれたが、今世紀に入っても、従来さほど石油を消費していなかった非OECD諸国(特に中国と中東が中心)が、好調な経済成長を背景に石油消費を増やしており、これを牽引力に世界の石油需要は堅調に伸びている。
一次エネルギーに占める石油のシェアは、石油危機以前に比べるとダウンしたが、20世紀末で40%程度を占めていた。今世紀に入り、多少下落しているものの、石油は依然として一次エネルギー供給源として大宗を占めている。国際エネルギー機関(IEA)の見通しによれば、この情況は2030年まで変わらない。
また、石炭のシェアは前世紀末にかけては環境問題などから低下傾向にあったが、環境対策技術の進歩もあり、値上がりしているエネルギー価格の中では相対的に価格が安いことから、このところ石炭のシェアが上がってきていることは特徴的である。
2. 将来のエネルギー・石油の需給見通し
先行きのエネルギー・石油の需給見通しについては、世界各国の経済成長の伸び率、産油国・産ガス国の国内情勢、エネルギー価格の動向等、不確実な要素が多く、正確な予測は困難である。これに加え、近年、急速に意識が高まっている地球温暖化問題などの地球環境保全への取組み方いかんで、見通しは大きく異なることとなる。
ここでは、IEAの「World Energy Outlook」(2006年版)により、2030年までのエネルギー需給を見通すこととする。
(1)一次エネルギーの需給見通し
エネルギー需要の前提となる経済成長率は、2004年から2030年までの世界平均で年率3.4%(2004~2015年では年率4.0%)と想定している。そのうち、OECD諸国は年率平均2.2%程度、アジアや中東を中心とする発展途上国は年率平均4.7%程度の高い伸びを想定している。
この前提で、2004年から2030年までに、IEAは、エネルギー供給が年率平均1.6%(2004~2015年では年率2.1%)伸びると想定しており、エネルギー源別には、天然ガスが年率平均2.0%と比較的大きな増加見通しを立てているほか、石油も底堅く年率平均1.3%伸びるとしている。原子力は伸び悩む予想になっている。その結果、2030年のエネルギー構成比率にも大きな変化は見られない。2030年でも、石油が最も大きなシェアを持つ一次エネルギーの供給源になっている(表 1-1-2)。
- 表 1-1-2 世界のエネルギー別供給見通し(石油換算)
-
出所:IEAデータをベースに作成2004
実績
億トン2004-15
伸率
年率%2015
見込み
億トン2015-30
伸率
年率%2030
見込み
億トン2004-30
伸率
年率%構成比推移 2004
%2015
%2030
%石炭 27.7 -(+2.6)→ 36.7 -(+1.3)→ 44.4 +1.8 25 26 26 石油 39.4 -(+1.7)→ 47.5 -(+1.1)→ 55.8 +1.3 35 34 33 天然ガス 23.0 -(+2.5)→ 30.2 -(+1.7)→ 38.7 +2.0 21 21 23 原子力 7.1 -(+1.2)→ 8.1 -(+0.4)→ 8.6 +0.7 6 6 5 水力 2.4 -(+2.6)→ 3.2 -(+1.7)→ 4.1 +2.0 2 2 2 バイオマス 11.8 -(+1.4)→ 13.8 -(+1.2)→ 16.5 +1.3 10 10 10 その他再生可能 0.6 -(+8.0)→ 1.4 -(+5.2)→ 3.0 +6.6 1 1 2 一次エネルギー計 112.0 -(+2.1)→ 140.7 -(+1.3)→ 171.0 +1.6 100 100 100
(2)石油の需給見通し
IEAは、2006年版「世界エネルギー見通し」の中で、石油需給の前提となる原油価格を以下のように想定し、世界の石油需要および需給バランスの長期見通しを行った。
| 2005年 | 2010年 | 2015年 | 2030年 |
|---|---|---|---|
| 50.62ドル/バレル | 51.50 | 47.80 | 55.00 |
(IEA加盟諸国の輸入原油平均価格:2005年実質価格ベース)
世界の石油需要は、表 1-1-3 に示すように2005年から2030年にかけて年率1.3%で伸び、2030年には約1.16億バレル/日に達する(2005年は約8,400万バレル/日)。
これに対する供給は、2010年までは需要増加に対し、非OPEC産油国も相応の供給貢献を果たすことが期待されるが、それ以降は非OPECの増産ペースが減速すると予想され、世界埋蔵量の約7割が集中するOPECへの供給依存度が次第に上昇するようになる。
今後は、カナダのオイルサンドやベネズエラのオリノコベルトの超重質油(オリノコタール)などの生産拡大が期待される。しかし、オイルサンドの生産には環境問題が、オリノコタールの生産には地政学的リスクがあるため、開発プロジェクトが計画どおり順調に実施されるかどうかについては不透明な部分もある。
中長期的には、石油についてはオイルシェールなど、天然ガスについてはタイトサンドガス、炭層メタン、さらにはメタン・ハイドレートなどの非在来型資源による供給が必要になると想定される(表 1-1-4)。
- 表 1-1-3 世界の石油需要見通し
-
(単位:百万バレル/日)
出所:IEAデータをベースに作成2005
実績2005-10
伸率
年率%2010
見込み2010-30
伸率
年率%2030
見込み2005-30
伸率
年率%構成比推移 2005
%2010
%2030
%OECD 47.7 -(+0.9)→ 49.8 -(+0.5)→ 55.1 +0.6 57 55 47 非OECD 35.9 -(+2.9)→ 41.5 -(+2.0)→ 61.2 +2.9 43 45 53 世界計 83.6 -(+1.8)→ 91.3 -(+1.2)→ 116.3 +1.3 100 100 100
- 表 1-1-4 世界の石油需給バランス見通し
- (単位:百万バレル/日)
出所:IEAデータをベースに作成年 2005 2010 2030 需要 83.6 91.3 116.3 供給 83.6 91.3 116.3 在来型石油 80.1 86.6 104.9 OPEC原油
(シェア)29.1
(35%)30.2
(33%)45.7
(39%)OPEC NGLs 4.3 5.4 9.0 非OPEC原油 41.6 45.5 43.4 非OPEC NGLs 5.1 5.5 6.8 プロセスゲイン 1.9 2.0 2.5 非在来型石油 1.6 2.8 9.0 OPEC 0.2 0.3 1.5 非OPEC 1.4 2.5 7.4
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