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このページは、石油便覧トップの中の第1編の中の第6章の中の第2節 環境規制と燃料品質動向のページです。




  1. はじめに
  2. 米国の環境規制と燃料品質動向
  3. EU諸国の環境規制と燃料品質動向
  4. アジア諸国の環境規制と燃料品質動向

1. はじめに

 1970年代からの急速なモータリゼーションの進展によって、欧米の特に大都市部での大気環境は、自動車排出ガスによる汚染が深刻化した。各国政府は大気汚染改善のため、自動車排出ガス規制をガソリン乗用車、次にディーゼル小型車、ディーゼル大型トラックに適用し、併せて排出ガス規制値の厳格化を進めた。この結果、自動車排出ガスのクリーン化が進んだ。

 自動車燃料品質としては、ガソリン、軽油中の主として硫黄分、ベンゼン分、芳香族分などが排出ガスに影響を及ぼす。特に硫黄分低減は、最新の排出ガス処理装置の性能を充分に発揮させるためには不可欠であるため、日本、米国、欧州では、含有量10質量ppm以下のサルファーフリーとなりつつある。(なお、燃料中の硫黄分含有量は質量比率であるが、以下本節では、%あるいはppmと略記する。)

 アジアにおいても特に中国、インドなどでは、ここ数年の急速な経済成長と自動車の大幅な普及により大気汚染が問題となり、自動車排出ガス規制と燃料硫黄分規制が強化された。

 ここでは、米国、EU(欧州連合)、アジアでの環境規制と硫黄分低減を中心とする燃料品質動向について記す。

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2. 米国の環境規制と燃料品質動向

 米国では1990年に大気浄化法CAA:Clean Air Act)が大きく改正された。この改正で自動車燃料に対する規制を導入し、自動車からの排出ガス規制を大気汚染対策の柱とした。CAAに基づきEPA(米国環境保護庁)は、1995年より大気汚染の深刻な地域に対して改質ガソリン注1)の販売を義務付けた。改質ガソリンには、含酸素分の添加率が規定されており、これまではMTBE(Methyl Tertiary Butyl Ether)がオクタン価向上効果もある含酸素化合物として用いられてきたが、地下タンクやパイプライン等からの漏出による地下水汚染が問題となり、2004年からカリフォルニア州等でMTBE添加が禁止され、2005年4月、EPAはガソリンへのMTBE添加を2014年12月31日以降全米で禁止すると決定した。また、2005年8月にはエネルギー政策法が成立し、再生可能燃料(トウモロコシを原料とするエタノール燃料が中心)の導入量が義務付けられた。

 自動車用ガソリン、軽油中の硫黄分はEPAによる自動車からの排出ガス規制強化に沿って順次低減され、2006年からガソリンは30ppm以下(製油所年間平均規制値)、軽油は15ppm以下となっている。なお、連邦より厳しい基準を採用する権限を認められるカリフォルニア州ではガソリンの硫黄分は2004年より15ppm以下となっている。

 また最近では、EPAは自動車以外の建設・農業機械、機関車、船舶エンジン(ノンロードディーゼルエンジン)からの排出ガス規制も強化し、ノンロード用軽油の硫黄分も2010年から15ppm以下と規制した。

表 1-6-1 米国の軽油中の硫黄分規制値
(単位:質量ppm)
EPA  連邦 CARB カリフォルニア
導入時期 自動車 ノンロード 自動車
ノンロード
建設・農業機械 機関車・船舶
1993/10/1 500以下 5000以下  
2006/6/1 15以下   15以下
2007/6/1   500以下  
2010/6/1   15以下 500以下  
2012/6/1     15以下  

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3. EU諸国の環境規制と燃料品質動向

 EU諸国では、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)削減などの大気汚染の改善と共にCO排出量削減が重要視され、特に自動車に関しては燃費向上が求められている。これらを背景に、1990年代後半から燃費の良いディーゼル乗用車の驚異的普及が起こった。2005年から適用された最新の排出ガス規制EURO-4をクリアする排出ガスコントロール技術(電子制御超高圧コモンレール燃料噴射装置、排出ガス再循環EGR、微粒子捕捉フィルターDPF、NOx吸収還元触媒など)の開発により、ガソリン車より燃費の良いディーゼル車がCO排出量削減の切り札として広く受け入れられた。

 これらの最新技術に対応するために軽油のサルファーフリー化が求められた。EU統一軽油規格(EN-590)では、2005年から硫黄分含有量を50ppm以下に規制するとともに、10ppm以下の規制も導入して、一部の加盟国で供給を開始した。そして2010年にはEU全域で10ppm以下のサルファーフリーとなる。

 ガソリンについても軽油と同様に、EU統一ガソリン規格(EN-228)で、2005年から硫黄分含有量を50ppm以下に規制するとともに、10ppm以下の規制も同時に導入され、2010年には全域で10ppm以下となっている。

 EUの燃料品質は、自動車からの排出ガス規制であるEURO-1からEURO-5に沿って変更されてきており、EU燃料品質指令によって決められている。

 2009年4月23日に採択されたEU燃料指令2009/30/ECでは、硫黄分以外にガソリンへのエタノール混合上限値を5容量%から10容量%へ引き上げ、軽油中の多環芳香族含有量上限値を11容量%から8容量%へ引き下げ、さらにバイオ燃料であるFAME(脂肪酸メチルエステル)の含有量が7容量%以下に規定された。また、ノンロード(建設・農業機械)ディーゼル燃料の硫黄分も従来の2000ppmから2008年以降1000ppmへ、さらに2011年以降は自動車燃料と同じ10ppmへと段階的に引き下げられてきた。

表 1-6-2 EUの自動車排出ガス規制と燃料硫黄分規制値
(単位:質量ppm)
排出ガス規制 導入時期 ガソリン 軽油 EU燃料指令
EURO-3 2000年 150以下 350以下 98/70/EC
EURO-4 2005年 50以下 50以下 2003/17/EC
EURO-5 2009年 10以下 10以下 2009/30/EC

 EUでは船舶燃料の硫黄分規制も進められており、EU指令2005/33/EC において、以下の内容が義務付けられている。

  1. IMOが指定するSECA注2)(SOx Emission Control Area) におけるEU加盟国の領海、排他的経済水域及び汚染規制水域では、硫黄分濃度1.5%以下の燃料油を使用すること、各SECAにおける本規制の適用日はバルト海海域:2006年8月11日、北海海域:2007年8月11日、その他の海域:IMOによる指定から12 ヵ月後である
  2. 定期的に運航される客船については、EU加盟国の領海、排他的経済水域および汚染規制水域において、2006年8月11日以降、硫黄分濃度1.5%以下の燃料油を使用すること
  3. EU内において内陸水路注3)を航行する船舶の燃料油、EU内の港湾において停泊中に使用される燃料油は、2010年1月1日以降、硫黄分濃度0.1% 以下の燃料油を使用すること

 このようにEU諸国の燃料品質は排ガス規制をクリアするための硫黄分含有量などの規制が強化されてきたが、近年は地球温暖化対策としてのバイオ燃料導入が図られてきている。

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4. アジア諸国の環境規制と燃料品質動向

 アジア諸国とりわけ中国とインドでは、急速な経済成長とモータリゼーションの拡大により輸送用燃料の需要が拡大し、大都市部での排出ガスによる大気汚染が問題となり燃料品質規制が強化されつつある。アジアでの石油消費大国である中国、インド、韓国の最近の環境規制に伴う燃料品質動向については概略以下のとおりである。

中 国

 中国の自動車産業においては欧州のメーカー(フォルクスワーゲン等)の進出が早かった関係から自動車からの排出ガス規制、燃料の品質規制も欧州の規制を準用し、ガソリン、軽油の硫黄分の規制を中心に強化してきている。特徴として中国では自動車用軽油の全国規格は無く、軽油は自動車用、農業機械用、発電用、燃焼用共に同一規格(GB252-2000:2003年より実施、硫黄分2000ppm以下)となっている。しかし最近では大都市の大気汚染が問題となり、排出ガス規制が強化され、2005年から北京、上海に限定して自動車用燃料規格が制定され、ガソリン硫黄分150ppm以下、軽油硫黄分350ppm以下と規制された。

 今後、2008年に北京、上海ではEURO-4相当規格としてガソリン、軽油硫黄分を50ppm以下とすることが予定されている。

表 1-6-3 北京市の自動車用燃料硫黄分規制値
(単位:質量ppm)
導入時期 準用する規格 ガソリン 軽油
    1500以下 2000以下
2000年 EURO-1 相当 800以下  
2004年 EURO-2 相当 500以下 500以下
2005年 EURO-3 相当 150以下 350以下
2008年 EURO-4 相当 50以下 50以下

インド

 インドでは、ガソリンおよび軽油の低硫黄化が自動車排出ガス規制に沿って進められており、欧州のEURO規格に準じている。ニューデリー、ムンバイ等の11大都市とその他地域に分けて規制されている。

表 1-6-4 インド11大都市の自動車用燃料硫黄分規制値
(単位:質量ppm)
導入時期 準用する規格 ガソリン 軽油
2003年 EURO-2  500以下 500以下
2005年 EURO-3  150以下 350以下
2010年 EURO-4 50以下 50以下

韓 国

 韓国の石油製品規格は石油事業法によって定められ、自動車用燃料は大気環境改善を目的とした大気環境保全法による規定も追加されている。

 ソウル市周辺地域の大気汚染が問題となり、自動車燃料の低硫黄化が進められ、2006年1月よりEURO-4相当の規制が実施された。

 ガソリンについては硫黄分50ppm以下(従来は130ppm以下)、ベンゼン1.0容量%以下(従来は1.5容量%以下)と規制され、軽油については硫黄分30ppm以下(従来は430ppm以下)、多環芳香族11容量%以下(従来は規制値なし)と規制されている。

[注]

注1)米国における改質ガソリン(RFG:reformulated gasoline)とは、地域別に定められた一定の質量%以上の含酸素燃料基材を混入したガソリンを指す。代表的な含酸素燃料基材としては、MTBE、エタノールが挙げられる。大気中のオゾン濃度の基準未達成地域で、自動車からの排出ガス中の有害物質低減を目的として改質ガソリン導入が義務付けられた。

注2)SECAは、SO排出規制特別海域のことである。IMOで定められた船舶からの排出物を規制する国際条約であるマーポール条約附属書6により、船舶からのSO排出量の多い海域をSECAに指定することができる。現在、バルト海と北海の2箇所がSECAに指定されている。

注3)「内陸水路(Inland Water Way)」の定義はEU指令82/714/EECによる。欧州大陸内の河川を指す。




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