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1. 緊急時対応
1973年に勃発した第一次石油危機の後、世界各国で緊急時対策が進められる中で、1974年11月には先進石油消費国によりIEA(国際エネルギー機関)が設立され、90日分の石油備蓄義務を含む石油緊急融通制度が創設された。
我が国では、1973年12月に、緊急時における石油需給や価格に関する緊急時二法(「国民生活安定緊急措置法」および「石油需給適正化法」)が施行されるとともに、1975年にはIEAの石油備蓄義務に基づいて、「石油備蓄法」が制定され、翌1976年4月に施行された。
その後、1978年には第二次石油危機、1990年にはイラク軍のクウェート侵攻に端を発した湾岸戦争による原油供給の一部遮断等を経験したが、石油備蓄の一部取崩し、行政指導に基づく価格管理、需給管理等の諸対策により、また省エネルギー意識の浸透により、国民生活および日本経済への影響を最小限度に留めてきている。
これらの過去の緊急時における対応を図 2-2-3 にまとめる。
2. 石油備蓄の確保
前述のとおり、1976年に「石油備蓄法」が施行され、民間備蓄がスタートした。また、1978年からは石油公団による国家備蓄もスタートした。
現在は、国家備蓄は全て原油で備蓄目標の5,100万KLを確保し、民間備蓄は原油および製品で、備蓄目標の70日分を越える数量を確保している。2010年12月末現在の備蓄量(原油+製品)は、8,327万KLであり、199日分の高水準にある。
なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災における緊急対策として、政府は民間備蓄義務日数について、3月14日から3日分を引き下げ、3月21日には更に22日分を引き下げる措置を実施し、45日とした。(5月20日まで)
また、リビア情勢等による世界的な石油供給の混乱に対応するためのIEA加盟国による協調行動として、政府は6月27日から民間備蓄義務日数を3日分引き下げ、67日とした。(12月31日まで)
備蓄制度の詳細については、第4編第3章第4節を参照。
3. 非在来型燃料も含めた資源確保への取組み
石油消費量の99%以上を輸入に依存する我が国にとって、海外での石油・天然ガスの自主開発は、一定量のエネルギーの長期安定的確保のみに留まらず、産油国との相互依存関係の構築・強化や、産油国国営会社やメジャー資本との事業連携基盤の醸成等、エネルギーの安全保障上大きな意義をもっている。
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構による支援体制の下に、2010年6月現在、我が国の企業は中東、東南アジア、アフリカ、南北アメリカおよび旧ソ連諸国等の世界各地で130プロジェクトを手がけ、その内約70プロジェクトで石油・天然ガスの商業生産を行い、これら自主開発原油の日本側引き取り量は全原油輸入量の23%に相当している。
石油需要に関しては、日本や欧州では緩やかな減少が見込まれているが、世界全体では新興国を中心に引き続き増加していくと予測されている。
IEAの見通し(2010World Energy Outlook 現状政策ベース)では、世界の石油需要は2035年までに中国、インド、東南アジアを中心に2,300万バーレル/日 増加するがこの需要増加分のほぼ50%を中東産油国からの供給に依存せざるを得ない、としている。
一方、世界の原油価格は1980年代半ば以降2000年までは、概ね20ドル/バレル以下で推移してきたが、世界的な石油需要の増加を背景に2004年後半ごろから急騰を続け、2008年7月には一時的に145ドル/バレルに到達した。
その後、急落・再上昇のめまぐるしく変動する市況を経緯して現在に至っているが、国際エネルギー機関をはじめとする諸機関も長期的な油価上昇を予測している。(原油価格の変遷については第1編3章原油価格の動向を参照)
これらの状況を背景に、石炭のガス化および液化のほかカナダのオイルサンド、ベネズエラの超重質油(オリノコタール)等、技術面や生産・物流コスト面から商業化が困難とされる非在来型石油燃料の開発が積極的に進められており、開発利権確保を巡る競争も活発化してきている。また、近年は地球温暖化対策の観点からバイオ燃料への取組みも活発化してきている。
このような状況の下に、我が国の石油産業は、2006年以降カナダやベネズエラの超重質油の輸入検討に向け現地調査団を派遣、2009年にはベネズエラオリノコ川流域(オリノコベルト)の新規2鉱区の開発事業に対し企業グループが参加する等、積極的な取組みを展開している。
また、バイオ燃料に関しては、石油業界として本格導入へ積極的に協力する事を決定し、2010年にバイオエタノールを原料とするETBEを混合したバイオガソリン84万KL (原油換算21万KL)を導入することを目標に設定した。石油業界は2007年5月には関東圏の50ヶ所のサービスステーションで試験販売を開始、2008年には大阪、宮城などを含む100ヶ所のサービスステーションで拡大実施した。試験販売は2008年で終了し、2009年には2010年からの本格導入に向けて20万KLのバイオETBEの導入を開始し、2010年には目標の84万KL導入を果たした。2011年2月時点では、全国約2,120ヶ所のサービスステーションでバイオガソリンの販売展開に至る。2010年11月にはエネルギー供給構造高度化法に基づき、2011年度から石油供給事業者によるバイオエタノールの利用(ETBEでの利用含む)が義務化されており、東北大震災による一時的な影響は生じてはいるものの、引続き導入量の拡大を達成していく。
複雑な世界情勢や過去の経験則からみても、今後のエネルギー市場動向を予測するのは困難だが、我が国においてはエネルギー資源の海外依存状況が変わるわけではなく、これまで以上に自主開発原油・天然ガスの確保に努めるとともに、原油輸入地域の分散化と中東依存率の低減さらには非在来型燃料の将来的な導入にも布石を打ち続けなければならないであろう。
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