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このページは、石油便覧トップの中の第2編の中の第6章の中の第2節 製品流通の動向のページです。




  1. 新規業者参入
  2. セルフ・サービスステーションの登場
  3. 競争条件と商標権

1. 新規業者参入

 1996年3月末、特石法が廃止となり、石油の備蓄能力、品質調整能力等、一定の条件を満たしていれば、石油元売、精製会社以外の事業者も、ガソリン、灯油、軽油等の石油製品の輸入が可能となった。

 この結果、全国農業協同組合連合会(全農)、総合商社等が石油製品の輸入を始め、石油製品の供給業者が多様化した。これを受けて、スーパー等の店舗に併設・隣接するSSを独自ブランドで運営する動きが出始めた。

 大手スーパーではダイエーがDMガスステーション、ジャスコ(現イオン)がメガペトロ、カーショップ大手ではオートバックスがオートバックスエクスプレス、ホームセンターではジョイフル本田がジョイフルスピードステーション、ディスカウンターのカウボーイがペトロボーイを運営するなど異業種がSS展開に乗り出し、さらに、メジャーズ(国際石油資本)の一つである英国系の石油会社BPも日本へ進出する(その後2001年に撤退)等、新規参入業者が見受けられるようになった。

 この特石法廃止が市況に与えた影響は大きく、特にガソリン価格については、特石法廃止が具体的に議論され始めた1994年を機に、下落傾向が顕著に表れるようになった。

 さらに、1996年4月以降、新規参入業者が安く設定したガソリン価格に近隣SSも同値もしくは同値に近い価格で対抗したため、これら新規業者の参入した地域ではガソリンの市況は大幅に下落し、全国の市況下落にも拍車をかけるようになった。

図 2-6-1 特石法廃止と石油製品価格の推移(ガソリン税・軽油引取税込み)
(単位:円/リットル)

注記:全国平均現金店頭価格(消費税抜き)

出所:(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センター、価格情報「給油所石油製品」より作成

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2. セルフ・サービスステーションの登場

 1998年4月の「危険物の規制に関する政・省令」の改正により、我が国において、ドライバーが自ら車に給油するセルフ方式のSSの設置が可能となった。

表 2-6-1 都道府県別セルフSS数と比率%(2011年3月末現在)
  SS数 セルフ
SS数
比率   SS数 セルフ
SS数
比率   SS数 セルフ
SS数
比率
北海道 2,081 457 22.0 新潟 1,148 137 11.9 岡山 756 195 25.8
青森 682 120 17.6 静岡 1,343 267 19.9 広島 898 186 20.7
岩手 645 111 17.2 愛知 1,909 543 28.4 山口 560 139 24.8
宮城 783 170 21.7 三重 763 166 21.8 徳島 465 73 15.7
秋田 582 64 11.0 岐阜 888 191 21.5 香川 425 132 31.1
山形 555 110 19.8 富山 440 112 25.5 愛媛 697 103 14.8
福島 1,008 195 19.3 石川 425 136 32.0 高知 427 65 15.2
茨城 1,496 214 14.3 福井 343 75 21.9 福岡 1,125 328 29.2
栃木 934 119 12.7 滋賀 404 101 25.0 佐賀 391 81 20.7
群馬 912 139 15.2 京都 530 137 25.8 長崎 571 105 18.4
埼玉 1,387 451 32.5 大阪 1,247 334 26.8 熊本 888 153 17.2
千葉 1,599 406 25.4 兵庫 1,255 376 30.0 大分 582 122 21.0
東京 1,439 317 22.0 奈良 347 104 30.0 宮崎 596 91 15.3
神奈川 1,207 408 33.8 和歌山 477 92 19.3 鹿児島 1,009 164 16.3
山梨 500 56 11.2 鳥取 270 78 28.9 沖縄 370 64 17.3
長野 1,114 192 17.2 島根 404 70 17.3 全国計 38,777 8,449 21.8
出所:(1)セルフSS数:(財)日本エネルギー経済研究所石油情報センター「セルフSS出店状況について」(2011年7月発表)
(2)全SS数:(社)全国石油協会HP
http://www.sekiyu.or.jp/topics/index.html

 セルフSSは、一般のフルサービスSSが行っているスタッフによる給油をはじめ、車の誘導や、灰皿清掃、窓拭きなどのサービスを行わない分、価格が安く設定されるため、ドライバーの間に普及していくものと予想された。当初は地域的にも限られ出店数は多くはなかったが、2001年頃から増加し、2011年3月末現在、全国のSS数の21.8%の比率を占めている。

 セルフSSでは、集客力を高めるべくタイヤやバッテリー等のカーショップ、コンビニエンスストア、ファーストフード店等を併設して開業しているケースも見られる。

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3. 競争条件と商標権

公正かつ自由な競争確保のための5原則

 1997年6月、石油審議会石油部会石油流通問題小委員会は、石油流通の一層の公正化、かつ自由な競争確保のため、以下のような基本5原則を発表した。

(1)新規参入・退出の自由

 既に、特石法の廃止、指定地区廃止等の規制緩和により実施済み。

(2)取引先選択の自由

 取引先選択の自由、つまり事業者が自由に取引相手を選ぶことについては商標保護と取引先選択の自由との調和を具体的に整理することが必要であるとし、商標使用契約を締結するにあたっては、次の諸点を踏まえるべきと指摘した。

  1. 商標保護は事業者の責務であり、また消費者との関係で、特定の商標の下では、他の商品の混入は厳しく制限される
     ただし、この場合取引当事者双方にとって魅力的、合理的な取引条件の設定がなされることが当然の前提である
  2. 計量機・地下タンク分離による他社製品の取扱いは、直ちに違法ではないが、あくまでも当事者間の私的契約の問題であり、双方で交わす商標使用契約の内容によって律せられるべきである
     しかし、契約にあたっては、法的に適正なものとするとともに、消費者の利便性を第一に考えるべきである
  3. プライベートブランド(独自商標)活用も「仕入の自由」確保の選択肢の一つであるが、元売による安定供給、リテールサポート、品質保証等の機能提供はない

(3)取引条件の明確化・適正化

 業者間転売(業転)が、規制緩和による輸入品とともにノンブランドの透明かつ公正な「市場取引」として位置付けられた。従来の「系列取引内での秩序構築」とは異なるものの、当事者間において事前に合意のうえで取引条件を明確化することや、商標保護を前提としていること等も強調している。

(4)公正競争の確保

 正常なコスト削減努力等によらない不当廉売注1)に対しては、迅速・厳格かつ実効性のある取締りを期待し、また差別対価注2)については、各事業者が自らの意志と責任により解消すべきと指摘している。

(5)自己責任の徹底

 以上の諸課題を含め、今後石油流通に携わる各事業者は、規制緩和の主旨を踏まえ、自らの意思と責任により合理的な判断をしていくことが不可欠としている。

商標権に係る考え方

 小委員会の答申を受けた石油元売各社は、商標権保護を前提とした内容の特約店契約の改定、商標管理を計量機単位ではなくSS単位とする商標契約を締結するなど、契約の改定、既存契約の運用強化を図った。

 これに対し、全石連注3)は、資源エネルギー庁にSSにおける石油元売の商標権について問題提起を行い、これを受けた資源エネルギー庁は、1999年5月10日付けで「ガソリン等石油製品の販売における商標権に係る考え方について」を石油元売各社に通達した。その中で商標権侵害にあたらない事例を2つ提示した。

 <前提>

 元売会社A社と給油所販売業者甲は、特約店契約、商標使用契約を締結

 <事例1>正規取引ルート外で購入したブランド品を販売した場合

 A社がA社商品として商社(特約店)乙に販売した商品を、乙が他社品と混合せず、乙の正規取引ルートでない販売業者甲に販売。甲は、このA社商品をA社商標を掲げる給油所で、A社商品として販売。

 <事例2>計量機を分けてノンブランド品を販売する場合

 販売業者甲がA社商標を掲げる給油所で、ノンブランド商品を一部の計量機において地下タンクとともに分け、ノンブランド商品であることを明確に表示する等、消費者に当該計量機から給油する商品がA社のブランド商品ではないことを明確に認識できるよう表示して販売。

独占禁止法改正に伴う不公正な競争制限の強化

 2009年6月に独占禁止法改正法が成立し、不当廉売・差別対価行為に課徴金が課せられることとなった。これに合わせ、「ガソリン等の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」、いわゆる不当廉売ガイドラインが改定された。従来は実質的な仕入価格を下回って供給する行為の有無が不当廉売の判断基準とされていたが、新しいガイドラインにおいては、実質的仕入価格に販売経費と一般管理費を加えた総販売原価を下回って供給する行為が不当廉売に該当するとの新たな基準が示された。このほか、廉売行為の継続性や実質的仕入価格に関する具体的な考え方もガイドラインに明記された。

 またSS店頭における価格表示で、適用される支払い手段の表記が十分でなく消費者から苦情が寄せられている実態をふまえ、全石連は「ガソリンスタンドにおける価格表示の適正化ガイドライン」を策定し、SSにおける適正な価格表示を運営者に促した。

 元売の新しい価格体系の導入による仕切価格の公平性の向上と合わせ、独占禁止法の改正により、流通業者における公正な競争条件の確保に向けた環境整備が一段と進むこととなった。

[注]

注1)不当に低い対価をもって、物資その他の経営上の利益を供給すること。
不公正な取引方法の一つとして、独禁法によって禁止されている。

注2)正当な理由がないのに、地域または相手方によって、同一商品の対価に差別をつけること。不公正な取引方法の一つとして、独禁法によって禁止されている。

注3)一般的に全国石油商業組合連合会(全石商)と全国石油業協同組合連合会(全石協)の2団体を総称して「全石連」と呼ぶ。石油製品販売業者の健全な発達と消費者の利益保護のため活動している団体。

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