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このページは、石油便覧トップの中の第4編の中の第3章の中の第2節 外航タンカーのページです。




  1. タンカーの所有と用船
  2. タンカー運賃
  3. 外航タンカー事情

1. タンカーの所有と用船

 タンカーの運航形態は、石油会社もしくは石油会社直属の船会社が、自己建造し所有する形態(自社船)と一般船会社から船舶を借り受ける形態(用船)の二つに大別される。

 タンカーの用船には、航海用船、定期用船、裸用船の3種類の契約があり、以下にそれぞれの用船形態の特徴を略述する。

航海用船(Voyage Charter)

 船主は用船者により指示された積出港から揚げ地までの貨物を運送し、貨物の積載量に対する運賃(Freight)を得る契約であり、実際の値決めには「2.タンカー運賃」で後述するワールドスケール(WS)と呼ばれる運賃指数を用いるケースが一般的である。

 船主は原則として、資本費(建造費、金利等)、船費(船員費、食糧品費、船用品費、修繕費、保険料等)および運航費(燃料費、港費)等船舶諸費用の全額を負担する。

 用船者の事情により、積揚港で船主との間で取り決めた許容停泊時間を超過して停泊させた場合、用船者は船主に対し、滞船料(Demurrage)を支払わなければならない。

 契約形態として、連続航海用船(複数航海、CVC:Consecutive Voyage Charter)とスポット航海用船(一航海)がある。

定期用船(Time Charter)

 用船者が、一定の期間を定めて乗組員込みの船舶を決められた用船料で借り受ける契約である。

 船主は原則として、資本費と船費をまかない、用船者は運航費を負担する。

 船舶の故障、修理、ドックでの修繕、衝突、座礁、乗組員のストライキ、負傷者の上陸に伴い追加的に発生する時間等はオフハイヤー(用船者に対して不稼働状態となり、その期間は、用船者は用船料を支払わない)として、用船料から差し引かれる。

 運航費が用船者負担となるため、船主が、用船者に対して、当該船舶の速力と燃料消費量の保証を行う場合もある。用船者は、運航に関する指示を船長に与え、船長は用船者に対して報告の義務を負う。

裸用船(Bare Boat Charter)

 用船者が、一定の期間を定めて乗組員なしの船体のみを決められた用船料で借りる契約であり、用船者は準社船として自由に運航できる。

 用船者が、船長、乗組員、船用品および燃料等を手当てし、保船、修繕の義務も負う。船主は原則として、資本費のみを負担し、船費および運航費は用船者負担となる

表 4-3-2 用船契約形態の比較
  航海用船契約 定期用船契約 裸用船契約
契約期間 航海ごと 一定期間
(引渡時より返船まで)
左に同じ
船主負担
費用項目 
資本費
船費
運航費
資本費
船費 
資本費
本船の管理
・保守管理
・船員配乗等
契約期間中、船主は本船の堪航性と規定の性能を維持して用船者に提供する(占有権は船主にある) 左に同じ 船主は十分な堪航性を有する本船を用船者に裸貸し、以降用船者が本船の一切の管理を行う(占有権は裸用船者にある)
用船料
・用船の対価 
カーゴ積高に対する運賃
運賃=積高×基準運賃
   ×運賃率
用船期間に応じて決められた用船料 
1ヶ月毎の支払いが一般的 
左に同じ
備考 積高の多少にかかわらず、一航海につき運賃総額いくらと約定する場合もある (船主メリット)
a.安定収入の確保
b.運航上のリスクが用船者に転嫁される
(用船者メリット)
c.配船上の自由がきく
船主にとっては、船舶投資であり、運航のリスクは負わない

 

 なお、タンカーの契約では上記の用船契約の他に、数量運送契約(COA:Contract of Affreightment)もあり、これは、使用する船舶を特定せず、ある期間に特定の数量の貨物を、指定の積地から指定の揚げ地に合意の運賃で輸送するというものである。請負船会社が、マーケットにおいて他社から用船した船舶を使用しても良い、という形態の契約もある。

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2. タンカー運賃

 スポット航海用船におけるタンカー運賃は、主に運賃指標としてWorld Scale(ワールドスケール、Worldwide Tanker Nominal Freight Scale:略称WS)を用いて決められることが一般的である。具体的には、各航路に適用される基準運賃(フラットレート:Flat Rate、ドル/メトリックトン)に、輸送される貨物の重量(メトリックトン)、および航海用船契約で合意された運賃率を乗じて運賃が算出される。

 この基準運賃は英国および米国のワールドスケール協会が算定しているもので、1969年に初めて刊行された。その後算定方式が数度見直されたが、1989年1月1日より適用された算定方式が2014年現在まで有効となっている(為替レートや港費、燃料価格等の変動を考慮し、年1回改訂されている)。

 また、運賃率とは、船主と荷主が、実運賃を基準運賃の何%にするかを合意する値であり、タンカー需給バランス(タンカー市況)等の要因により変動する。運賃率50%で合意した場合は、基準運賃の50%がメトリックトン当たりの運賃となり、WS50と表記される。

[運賃計算方法例]

航路:中東の特定の積出港~日本の特定の揚げ地

基準運賃:この航路は30ドル/メトリックトンと仮定

貨物: 27万メトリックトン

運賃率:50%(WS50)

運賃=貨物 27万メトリックトン×基準運賃30ドル/メトリックトン

×WS50=405万ドル

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3. 外航タンカー事情

タンカーの種類

 原油輸送に使用されるタンカーは、主として以下のとおりである。

  1. ULCC(Ultra Large Crude Carrier): 32万重量トン以上
  2. VLCC(Very Large Crude Carrier): 20~32万重量トン、マラッカ海峡をほぼ満載状態で通行できる最大船型であることから、「マラッカマックス」とも呼ばれる
  3. スエズマックス(SUEZMAX): スエズ運河をほぼ満載状態で通行できる最大船型。約15万重量トン程度
  4. アフラマックス(AFRAMAX): 10~12万重量トン程度
  5. パナマックス(PANAMAX): パナマ運河を通行できる最大船型、約7万重量トン程度

世界のタンカー船腹・運賃・輸送量の推移

 世界のタンカーの船腹・運賃・輸送量についての推移を時系列で見ていくと以下のとおりである。

(1)1950~60年代

 世界の石油需要増に伴い、輸送量・船腹量共に大幅に増加。1956年のスエズ動乱により運賃市況は急騰したが、その後の建造ブームにより高騰局面は沈静化。1967年の第3次中東戦争により市況は再び急騰した。

(2)1970年代

 1973年の10月には運賃市況は空前の高値、しかし、11月の石油危機による石油需要の冷え込み、石油危機前に発注されたタンカーの大量就航により需給バランスが大幅に崩れ、市況は暴落、低迷期を迎えた。また船舶燃料価格の高騰によりタンカーの運航経済性が急速に悪化し、多くの船会社が運航停止、解撤(スクラップ)を余儀なくされた。

(3)1980年代

 1980年代当初はタンカー船腹量の大幅な余剰と市況低迷が続いたが、1985年12月のOPEC(石油輸出国機構)総会以降の原油価格急落による欧米での石油消費増加や、その後の世界の石油需給拡大基調、併せて老朽船スクラップの増大等により、タンカー市況は回復に向かった。

(4)1990年代

 1990年代当初はアジア経済の成長などにより石油輸送量は増加したが、新造船の建造増による供給過剰感や1997年のアジア通貨・経済危機による需要低迷から運賃市況は低迷した。

(5)2000年以降

 2000年代当初は運賃市況の低迷は続いたが、やがて、中国の経済成長と米国の好景気等を背景とした輸送需要の増加に伴い、運賃市況は回復に向かい時折急騰する場面もあった。(2004年と2008年にはVLCCで一時WS300超を記録)しかし、2008年の経済危機以降運賃市況は反落し、2011年以降は好市況時に大量発注された船が竣工したこともあり、市況は低迷している。

表 4-3-3 世界のオイルタンカー船腹量の推移(100総トン以上)
隻数 千 総トン
1985 6,156 134,861
1990 6,011 128,678
1995 6,761 143,521
2000 7,009 155,429
2005 7,034 174,467
2010 7,434 213,823
2011 7,326 227,570
出所:日本船主協会「海運統計要覧2013」

国別タンカー保有率

 2011年末時点で、世界のタンカー船腹の14.9%をリベリアが保有しており、次がパナマの13.1%となっている。

 なお、リベリア、パナマ籍の船舶が多い理由は、それらが便宜置籍国注1)であるためであり、その登録船の大半は、アメリカ、日本、欧州等に拠点を置く企業(実質的な船舶所有者)の船舶で占められている。

 日本の保有率は、1980年代の中ごろまで、全体の約1割を占めていたが、2003年以降は2%以下に低下した。

表 4-3-4 国別オイルタンカー保有船腹量(100総トン以上、 2011年末)
国別 隻 数 千総トン 保有割合(%)
リベリア 518 33,739 14.9
パナマ 564 29,715 13.1
ギリシャ 342 22,713 10
バハマ 220 17,008 7.5
マルタ 163 11,636 5.1
中国 382 6,776 3
キプロス 59 4,091 1.8
日本 560 3,427 1.5
ノルウェー 59 3,031 1.3
ロシア 267 1,205 0.5
10か国計 3,134 133,340 58.7
その他の国計 4,025 93,644 41.3
世界 計 7,159 227,015 100.0
出所:国土交通省「交通関連統計資料集」をもとに作成

日本のタンカー船腹

 戦後、我が国においては、計画的に船舶建造を促進させる計画造船制度と高度経済成長に伴う石油需要の増大が相まって、わが国の外航タンカー船腹量(1万重量トン以上)は、飛躍的に 増加し、リベリアに次ぐ世界第2位のタンカー保有国となった。

 だが、1980年代に入ると、省エネルギー・代替エネルギー政策の促進等による石油需要の落ち込みに加えて、運賃市況の低迷が主要タンカー運航会社の多くを倒産や経営危機に追い込み、また、円高は日本人船員配乗を義務付けた日本船の国際競争力を著しく低下させた。

 こうした状況のもと、経営の合理化、減量化の促進により、海外売船やフラッギングアウト(海外移籍)される船舶が相次いだ結果、同船腹量は、1990年にはピーク時(1976年)の37%に減少した。

 その後、いったんは石油需要が上昇に転じたことと、日本船への丸シップ方式注2)による日本人と外国人の混乗配乗制度が導入されたことから、日本籍タンカー減少に若干の歯止めがかかったが、それ以降も減少を続け、2001年以降はピーク時の20%以下となった。

 一方で、我が国では、2008年度より、自国の外航海運企業の国際競争力強化の一環として既に欧州等の海運先進国で導入され国際標準となっていたトン数標準税制(注3)を、日本船舶に対し導入しており、これが日本籍タンカーの減少に一定の歯止めをかけることが期待されている。

タンカーの大型化、ダブルハル化とCTS

 1967年の第3次中東戦争によるスエズ運河の閉鎖により、欧米諸国は原油を中東から喜望峰経由で輸送する必要が生じた。これを契機に船型大型化の気運が高まり、造船技術の進歩もあって多数のVLCC、ULCCが建造された。

 しかし、1973年の第一次石油危機以降、1億重量トンを超すタンカー船腹過剰が発生したが、その大半が大型船で占められていた。特に機動性に乏しいULCCは市場のニーズに適合しなくなり、ULCCの建造は鎮静化した。(積み地の多様化やカーゴ・ロットの小口化からULCCの満載数量を揃えることが難しくなり、かわりにマラッカ海峡を満載で通行できるVLCCのニーズが高まった)

 一方でタンカーの大型化に伴い満載喫水が深くなり、これらが着桟できる港湾は限られてきた。このため、VLCCの大型化は徐々に進んではいるが、32万重量トン前後で足踏みしているのが2010年時点の状況である。

 また、海洋汚染防止(MARPOL)条約により、1996年7月以降に竣工したタンカー(5千トン以上)は、従来の一重船殻(シングルハル)構造に代わり、より海上汚染リスクの少ない二重船殻(ダブルハル)構造とすることが義務付けられた。シングルハルタンカーは、2003年12月の改正MARPOL条約により最終使用期限(原則2010年または船齢25年のいずれか早い時点まで。但し、一定の検査に合格した船舶は2015年まで)が設けられたこともあり、2010年末現在、VLCCで41隻にまで減少している。この動きをタンカーの「ダブルハル化」という。

 石油需要の集中する既成工業地帯への原油搬入と、原油タンカーの大型化とを有機的に結合させる手段として考えられたのが、いわゆるCTS(Central Terminal System)で、これは個々の港湾設備大型化へ分散投資する代わりに、一ヵ所に集中投資して大型港湾設備を建設し、そこへ大型タンカーで輸送揚げ荷を行った後、その基地から製油所へ中小型タンカー等で輸送する方法である。

 1969年、鹿児島県喜入町(現鹿児島市)に日本石油(現JXエネルギー)が建設したものが、我が国で初のCTSであり、世界的には1969年、ガルフ・オイルがアイルランドのバントリー湾に建設したものが最初である。

[注]

注1)便宜的に船籍を置く他国のこと。理由としては、税制上のメリットを享受するとともに、船員を競争的賃金で雇用でき、本国の労働関係法や海員組合との労働協約の制約外にある外国人船員sを配乗するためである。

注2)日本籍船を外国船会社に裸用船で貸し渡して、一定人数の日本人と外国人の船員を混乗させ、改めて定期用船したもの。

注3)外航海運事業者に課される法人税を実際の利益ではなく、船舶のトン数を基準として一定の「みなし利益」を基に算出する方式。同税制は通常の法人税との選択制であるが、選択するにあたり、各事業者は日本船舶や日本人船員の増加・確保に向けた一定の要件を一定期間において満たす必要が生じる。2013年度からは一定条件を満たした外国船舶(準日本船舶)まで適用対象の拡大が図られた。

「参考文献」

1)運輸省(現国土交通省)「運輸白書 昭和39年度~平成12年度」

2)国土交通省「国土交通白書 平成13年度~平成25年度」

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第4編 石油産業の活動

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