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1. 地域バーター(交換ジョイント)の拡大
かつての高度経済成長時代には、石油が一次エネルギー供給の70%を上回った時期もあり、また製品の品質面においても石油会社間に多少の差違が認められたため、需要家および消費者のニーズは、「安定供給」、「高品質」、「価格」の各要素の何を優先するかにより、二極化ないし三極化していた。これらの対応として、元売石油各社は、ブランド商品、差別化商品の開発に拍車をかけるともに、自社製品の独自供給ネットワークでの安定供給体制の整備・構築に力を注いできた。また、一方では価格対応に向けての量販SS(サービスステーション)の増設にも取組んできた。
しかし、その後の自動車ガソリンを始めとする各社製品の品質向上による品質横並び感や、自動車エンジンの性能向上等により、消費者のニーズは「価格」が優先となり始め、1996年の特石法廃止を契機に、「低価格優先志向」への一元化が加速した。
このような消費者ニーズの変化に対応して、石油各社は自社製油所の集約化・統合により生産コストの低減を図るとともに、各社間の物流提携に基づく地域バーター取引の拡大、油槽所の共同使用や廃止等を積極的に進め、物流コストの節減を計ってきた。
特に地域バーター(交換ジョイント)は輸送コスト節減に大きな効果があり、全国規模で積極的な推進が図られている。
「地域バーター」とは、元売2社間で、それぞれどちらか一方が製油所・油槽所等の出荷拠点を保有する二地域において、等量、等品質の石油製品を相互に融通出荷することであり、石油産業においては「交換ジョイント」とも呼ばれている。2社間で、互いに利害が一致する場合、製品を融通し合うことにより油槽所までの輸送距離が短縮され、輸送コストが削減される。
なお、バーターの対象となる油種は、品質的に共通性のある汎用油種が中心であり、物流提携の際に双方の品質規格を交換し、契約で互いに品質を保証している。しかし、一方では各社のブランド力維持・強化のため、独自技術による高品質開発製品は、独自の物流ルートを通じて市場に供給されている。
2. 油槽所の共同化
近年、建設費の高騰、種々法規制への対応等から、油槽所の新設、拡張には膨大な投資が必要である。一方、物流部門の運営経費削減のため油槽所配置の見直しが行われている。
このため、油槽所建設の投資効率アップおよび運営経費の削減と物流の円滑化のため油槽所の共同化が実施されている。
この実例として次のものがある。
(1)共同出資会社運営油槽所の共同利用
日本オイルターミナル注1)や東西オイルターミナル注2)のように、石油会社各社が共同出資した会社の油槽所設備を各社共同で利用する。
(2)石油会社各社油槽所の相互利用
複数の石油会社が、互いに隣接した油槽所の設備を一体化して共同運用する。また、運営委託会社を一本化して利用する。同一地域にありながら、各社それぞれ個別に運用していたものを、1社に集約することにより運営経費の削減を図る。
(3)物流提携に基づく集約化・共同化
物流提携を行う2社の油槽所が同一地域に存在し、いずれか一方の油槽所への、比較的小額の設備投資により2社の受払が可能となる場合、他方の油槽所を廃止し、1社の油槽所に集約する。
3. 物流管理のシステム化
石油各社間におけるバーター取引の拡大・普及、油槽所の集約化・共同化と平行して、この間石油各社は、コンピューター導入による物流施設管理や出荷・配送における受・発注システム開発に積極的に取り組んできた。またこれらのシステム開発においては、各社間における各種伝票処理システムや積込み管理システムの平準化を勘案しながら進められており、バーター取引の拡大や、油槽所の共同化の円滑化に寄与している。
また、タンクローリーにコンピューターの小型車載端末機を搭載したハイテクローリーも、各社で積極的に導入されてきており、積込み時および荷卸し時の事故防止や効率的な運行管理面で効果をあげている。
4. 物流提携・効率化による効果
(1)輸送数量・距離の変化
表 4-5-3 は、経済産業省等の統計から、1995年度と2005年度の輸送形態別の輸送数量(トン数)、輸送距離の要素を加味した「延べ輸送量」を表すトンキロ(輸送数量×輸送km距離)、および1トン当りの平均輸送距離を示し、10年間におけるの変化(増減)について示したものである。
- 表 4-5-3 物流提携・効率化による輸送数量低減効果
- 単位;百万トン、トン・キロメートル
出所:経済産業省輸送統計、石油通信社版石油資料等より作成輸送形態 数量標示 1995年度 2005年度 増減 自動車
(ローリー、トラック)トン数(構成比) 131(41.3%) 173(59.2%) 42(+17.9%) トンキロ(〃) 3,966(4.5%) 7,437(13.1%) 3,471(+8.6%) 平均輸送距離 30km 43km 13km 鉄道 トン数(構成比) 12(3.8%) 13(4.5%) 1(+0.7%) トンキロ(〃) 1,809(2.0%) 2,645(4.7%) 836(+2.7%) 平均輸送距離 150km 202km 72km 内航海運 トン数(構成比) 174(54.9%) 106(36.3%) ▲68(▲18.6%) トンキロ(〃) 82,787(93.5%) 46,524(82.2%) ▲36,263(▲11.3%) 平均輸送距離 477km 440km ▲37km 合計 トン数(構成比) 317(100.0%) 292(100.0%) ▲25(±0.0%) トンキロ(〃) 88,562(100.0%) 56,606(100.0%) ▲31,956(±0.0%) 平均輸送距離 280km 194km ▲86km
物流提携による地域バーターや油槽所の共同化等による効率化の効果は、輸送形態別の輸送数量・距離の変化に明確に現れている。全体としても各指標で改善が顕著である。
(2)海上輸送量の大幅減少
前掲の表4-5-3で、物流提携の効果を顕著に表しているのが、海上輸送数量の大幅な減少である。1995年度には内航海運による輸送シェアは、輸送数量では過半の54.9%、トンキロでは93.5%を占めていたが、2005年度には輸送数量で68百万トン減少し、輸送シェアは輸送数量で36.3%、トンキロでは82.2%まで減少した。また、平均輸送距離の減少も、地域バーターが進展したことを顕著に示している。
この間の国内石油製品需要(販売量)と内航タンカー輸送量の指数推移を示したものが図 4-5-12 である。国内需要がほぼ横這いで推移したのに対し、海上輸送量が大幅に減少してきた様子がよく分かる。これらから、従来は遠隔地の油槽所や需要家に海上輸送されていた製品が、提携先他社の製油所や油槽所からタンクローリー等により出荷されるようになったことを如実に示しているといえる。
- 図 4-5-12 石油製品販売量および内航タンカー輸送量指数の推移
(3)タンクローリー輸送数量および輸送距離の増加
バーター取引拡大により、物流提携相手先の製油所が新たなタンクローリー出荷拠点として使用可能になったことや、近年の高速道路網の整備を背景に、石油各社は、油槽所の廃止および集約化・共同化を推進する一方で、製油所からのタンクローリー直送数量の増加と、配送圏の拡大を進めてきた。
その結果、表4-5-3に示すように、タンクローリーを主体とする自動車輸送量は、2005年度には1995年度に対し42百万トン増加し、総輸送量に占める比率も59.2%と、海上輸送の比率を大きく逆転している。また、平均輸送距離が大幅に(13km)増加していることも、こうした輸送の効率化が進展したことを示している。
(4)物流提携および効率化による効果
以上の結果、物流提携によるバーター取引の拡大や油槽所の共同化等により、タンクローリー輸送量や配送距離は増加したものの、海上輸送量の大幅減少による輸送コストの低減と油槽所経費の低減により、総体的な物流コストは大幅に低減し、安定価格の維持に寄与するとともに、効率性および安全性の向上により、消費者に対するサービスと信頼性の向上が図られている。
[注]
注1)JR貨物が中心となり、石油会社(6社)が共同出資のうえ内陸油槽所を建設し、出資会社の製品を専用タンク車で輸送し、合理化を図っている。(油槽所数は、全国11ヵ所)
注2)新日本石油(株)、コスモ石油(株)が共同出資した会社である。(油槽所数は、全国30ヵ所)
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