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1. 概要
石油化学工業協会の資料により、「石油化学製品ができるまでの流れ」と用途について図示する(図 6-1-4)。
日本の石油化学工業では、製油所で生産されたナフサと輸入ナフサを使用して、まず基礎化学品(オレフィン類や芳香族類)を生産する。その後この基礎化学品を原料にして各種の誘導品を生産している。
これらの誘導品の主な用途は、合成樹脂、合成繊維、合成ゴム、塗料原料、洗剤原料の五つである。この五用途の製品を合計すると、日本で生産される石油化学製品の85%に達する。図 6-1-5に全石油化学製品の合計生産量に占める各用途の比率を示す。
- 図 6-1-5 石油化学製品の用途別シェアー(全生産量に占める金額ベースの比率、2010年実績)
出所:石油化学工業協会 ホームページ
2. 製造法と用途
石油化学製品は、石油の主成分である炭化水素の炭素同士が直鎖状や環状に結合したり、炭素の四つの結合手のうち二つまたは三つが結合する等により、無数にその姿を変え、その用途も多岐にわたっている。
表 6-1-6 に石油化学製品の代表的な例である基礎化学品(オレフィン、芳香族)と合成樹脂、合成繊維、合成ゴムの製造法を示す。また、それぞれの製品の用途について簡単に説明する。
オレフィン
分子内に一つの二重結合をもつ鎖状炭化水素の総称をオレフィンと呼ぶ。反応性に富む石油化学基礎製品であるエチレン、プロピレン等がこれに含まれる。
エチレンの主な誘導品は、低密度・高密度ポリエチレン、塩化ビニルモノマー、エチレンオキサイド、スチレンモノマー等である。
プロピレンの主な誘導品は、ポリプロピレン、アクリロニトリル、プロピレンオキサイド等である。
芳香族
芳香族とは、分子構造中にベンゼン核をもつ炭化水素の総称であり、ベンゼン、トルエン、キシレン類がその代表例である。
ベンゼンの主な誘導品は、スチレンモノマー、フェノール、ナイロンの原料となるシクロヘキサン、合成洗剤原料のアルキルベンゼン等である。
トルエンの主な用途は、各種溶剤用のほか、ガソリンのオクタン価基材として消費される。また、ベンゼンやキシレンの原料としても用いられる。
キシレンは、一部溶剤に使用されるほか、オルソキシレン、メタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼンの原料になる。主用途は合成繊維(ポリエステル)の原料となるパラキシレンである。
合成樹脂
合成樹脂とは、いわゆる「プラスチック」のことであり、全石油化学製品需要の約6割を占める。汎用5大樹脂とその主な用途は次のとおりである。
- 低密度ポリエチレン:包装フィルム、ラミネートフィルム注1)、輸液バッグ、電線被膜材ほか
- 高密度ポリエチレン:レジ袋、ボトル容器、ガソリンタンク、繊維、パイプほか
- ポリプロピレン:自動車バンパー、電気・電子部品、包装フィルム、コンテナ、日用雑貨ほか
- 塩化ビニル樹脂:パイプ、板等の各種基礎資材、構造部材、フィルム、シートほか
- ポリスチレン:家電(テレビ、パソコン等)の外箱、包装材料を中心とする発泡スチロール用ほか
合成繊維
合成繊維とは、合成高分子化合物を湿式または乾式紡糸して得られる繊維で、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維等のことをいう。天然繊維に比べ、繊維の長さや太さ、形状を調整することができ、またその繊維自体の性質の差による種類も多く、用途に応じて特色を生かしたものを使用することができる。それぞれの主な用途は次のとおりである。
- ポリエステル繊維:衣類用素材、産業用強力糸ほか
- ナイロン繊維:衣類用素材、ロープ、ホース、人工芝ほか
- アクリル繊維:ニット製品、カーペット類ほか
- ビニロン繊維:帆布、セメント補強材ほか
合成ゴム
合成ゴムとは、天然ゴムが有するイソプレンの重合体に類似した構造をもつ物質を化学合成したゴムで、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のことをいう。天然ゴムに比べ、安定した価格で供給でき、一定の品質のものを必要に応じて生産でき、また要求に応じて天然ゴムの持たない品質上の特性を与えることができる。主な用途は、自動車タイヤ、ホース・チューブ類、ガスケット・シール材、電線被膜材等の自動車部品や工業用品ほか、はきもの類等日用品に広く用いられている。
[注]
注1)合成樹脂フィルムを紙やセロファン、アルミ箔等の他の基材の上に張り合わせたフィルムのこと。
[参考文献]
1)「石油化学工業の現状2009年」 石油化学工業協会 2009年7月発行
2)「Petroleum Refinery Engineering (Fourth Edition)」 W.L. Nelson
1958 by McGraw-Hill Book Company
3)「工業有機化学」-主要原料と中間体- 第五版 向山光昭監訳
(株)東京化学同人 2004年
4)「石油化学の実際知識」 平川芳彦 1968年3月 東洋経済新報社
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