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知っておきたい電気の豆知識

電力小売全面自由化前の不安を払拭!

電気供給契約を切り替えると電気の品質は変わるのか?

文責:平岡 理沙

※当記事は2015年6月22日現在の情報を元に執筆されたものです。

これまでの当コラムでも、2016年の4月に電力小売が全面自由化となることをお伝えしてきました。これにより私たちは自分の好きな会社から電気を購入することができるようになります。しかし、「違う会社に切り替えてもこれまでと同じように使えるの?」というような不安もあるでしょう。そこで今回は、電力小売全面自由化後の、電気の購入契約の切り替えについてご紹介します。

電力供給の仕組みはどう変わるのか?

まずはどのような仕組みで私たちは電気を使用しているのか、簡単に説明します。

現在のシステムでは、各地域の電力会社が電気の発電から送電、配電までを一貫体制で行っています。「送電」とは発電した電気を変電所まで送ること、「配電」とは変電所まで送られてきた電気をさらに家庭など実際に電気が使われる場所まで送ることをいいます。

図:配電と送電の違い

しかし、全面自由化後には、この電力の供給システムが大きく三つの事業に分かれます。一つは電気を作り出す「発電事業」、もう一つは作られた電気の送電・配電を担う「送配電事業」、そして三つ目は消費者に電気を販売する「電力小売事業」です。

新電力と呼ばれる新たに家庭用電力小売事業に参入する電気事業者は、このうちの「発電事業」と「電力小売事業」のどちらか、または両方を担うことになります。

一方、「送配電事業」分野はこれからも各地域の電力会社が担います。なお、各地域の電力会社には、この送配電部門を2020年4月までに別会社化するなど機能を分離すること(発送電分離)が義務付けられました。(2015年6月17日成立 改正電気事業法)

今まで1つの電力会社の仕事が3つに分かれるとはイメージがつきにくいかもしれませんが、例えば、私たちが普段お店で買う商品などで考えると、その商品を製造しているメーカー、できた商品を運ぶ物流会社、商品を販売する小売会社(お店)と会社によって役割が分かれています。全面自由化後は、電気もこのような仕組みになると考えると分かりやすいのではないでしょうか。

私たちが何か商品を購入する時、通常メーカーや物流会社からではなくお店から購入するのと同じように、全面自由化後に私たちが電気を購入するのは「電力小売事業」を行っている電気事業者から、ということになります。

図:電力小売事業のしくみ

※「託送料」とは、各地域の電力会社が有する送配電網を、他の電力小売事業者が利用する際に支払う利用料のこと。

電気の品質は切り替え後も変わりなし

では、電気の契約を切り替えることによって、停電が起こりやすくなるなど電気の品質に問題は生じるのでしょうか。結論から言えば、電気供給契約を切り替えても、電気の品質や信頼性は従来と一切変わりませんし、停電のリスクが現在と比べて高くなるということもありません。

というのも、従来の送配電網(ネットワーク)には、新電力の発電所や電力会社の発電所など、ほとんどの発電所からの電気が流れ込んでいるため、ご家庭に届く電気の品質が小売事業者によって異なることはありません。また、どこかの発電所がトラブルで止まったとしても電力不足にならないよう、ネットワーク全体でバックアップする体制が整備されています。このため、例えばある新電力の発電所でトラブルが起こったとしても、その新電力と契約しているご家庭だけが停電になることはありません。(ただし、落雷などによる停電の場合は、契約している小売事業者に関わらず、影響を受けたエリア全体が停電します)

電気をご家庭に届けるという物流会社の機能を担う「送配電事業」は、これまで同様、地域の電力会社がその役割を果たしますので、電力自由化後においても、その信頼性は今までと変わらないのです。

また、電気供給契約の切り替えでなんとなく不安を感じてしまうという方は、その原因の一つとして、「新しい事業者が参入してくるということは、これまでに実績がないから」というように思ってはいないでしょうか。

確かに、全面自由化によって、これまで家庭向けの電力小売の実績がない電気事業者も家庭向けに電力を供給できるようになります。しかしこれらの電気事業者の中には、従来の送電網を使用して、工場やビルなど電気の大口使用者に電力を供給してきた実績のある事業者もいます。2016年の全面自由化は、「全面」という言葉がついているのがポイントであり、工場など電気の大口使用者向けの電力小売については、2000年から順次規制が撤廃されていたのです。

このように、電力小売の全面自由化は新しい電力供給の形でありながら、送配電に関しては従来の発電所や仕組みを活用したものなのです。

切り替え手続きをスムーズにする「スイッチング支援システム」

電気供給契約の切り替えの際、もう一つ懸念されることがあると思います。それは「切り替えはスムーズにいくのか?」という点です。電気は私たちの日常生活に欠かせないものですから、万が一切り替えが上手くいかず、電気が通じない期間ができてしまっては大変です。

こうした事態に陥らないよう現在準備が進められているのが、電気を止めることなく、契約手続きをスピーディーに行うことを目的とした「スイッチング支援システム」です。これは新しい電力小売事業者と新規契約をすると、これまで契約していた各地域の電力会社との既存の契約を自動的に解除してくれるという、契約解除から新規契約などを一括して行うための仕組みです。来年から実際にお申し込み受け付けができるよう、現在「電力広域的運営推進機関(広域機関)」にて運用の準備が進められています。

図:広域機関スイッチングシステム

また新電力に契約を切り替えた場合、電線の引き込みなどの工事が必要になるのか、といった疑問を持つ方もいるかもしれませんが、工事は不要です。先ほど触れたように、送配電は従来の仕組みをそのまま利用するので、今と同じ環境のまま新電力の電気が使えるようになるのです。

以上の様に、電気供給契約の切り替え後も電気使用に新たな問題が生じることはありません。切り替え手続き自体もスムーズに行うための準備が着々と進んでいます。もちろん、切り替えはせずに従来の各地域の電力会社を利用し続けることも可能ですが、ご自身のライフスタイルに合った新しい電力供給のサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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